
石見食品株式会社
- メーカー(素材・食品・医薬品他)
- 島根県浜田市

登録企業情報OPERATING COMPANY
石見食品株式会社は、1963年に地元豆腐業者5社が合併して誕生した会社です。今も豆腐を中心に、油揚や厚揚などの製造販売をしています。現社長である3代目の石田浩志氏の話によると、当社の経営理念は設立当初から変わっていないそうですが、「作ることへの喜びを感じ、...」というフレーズは新鮮さを感じます。このようなしっかりした理念に支えられ、当社は安定した業績を上げてきました。それは、安売りをせず品質重視の経営姿勢を貫いてきたからです。その秘訣は、ある程度の機械化による量産ラインを構築しながらも、人がやるべき手作りの工程を組み合わせている点にあります。
豆腐は江戸時代以前から日本人の生活に根づいた食品で、味や硬さなどに奥深いものがあります。これは季節や気温、湿度による影響を受けるからです。豆腐は様々な工程を経て作られていますが、中でも「すりつぶした大豆を煮て豆乳を搾り、にがりを加え固める」という工程がもっとも出来上がりを左右します。この工程を機械で処理することも可能なのですが、豆腐の本当の美味しさを守るために、当社はこの部分を手作りで行っています。そして、この手作りの工程が作ることの喜びを最も感じさせてくれます。製造担当者は自分の肌で気温や湿度などを感じ、それによって大豆の茹で加減やにがりの量を調整します。ここが美味しさのポイントで、感受性が求められます。「入社当初は難しいですが、素直さとチャレンジ精神があれば2、3年で一人前になれる」と石田社長は語ります。このように、当社の仕事には美味しい豆腐を作ることで得られる喜びと自己成長を実感できる喜びがあるのです。
当社は豆腐製造業界において中国地方でNo.1になることを目標とし、ローカルな雇用創造とグローバルな販路開拓を目指しています。まず雇用創造については、当社での直接的な雇用はもちろんのこと、地域で採れた原材料を使うことで貢献しています。現在、2カ所の農協を経由して地域の農家に大豆の契約栽培を依頼しており、農業における雇用を生み出しています。また今後、耕作放棄地が増えていくという問題もあります。これについては、当社自体が農業分野に進出し、大豆作りに直接関わっていくという二次産業から一次産業への取組みも視野に入れているそうです。一方、販路開拓については、かつて大陸貿易の寄港地として栄えていた浜田港という地の利を活かす案があります。浜田港には現在も韓国航路やロシア航路があり、グローバルな販路開拓が可能なのです。ただし、豆腐は生鮮食品のため、そのままでは輸出に適しません。石田社長は現在取り組んでいる商品開発チームで豆腐の加工食品を開発し、これを輸出商品にしていきたいと考えており、商品開発や販路拡大における将来展開が楽しみです。
私は入社2年目で、おぼろ豆腐や焼き豆腐、ざる豆腐などを製造する部署に属しています。入社後1カ月は各部署を見学するなどの研修を受けた後、当部署で働いています。最初は失敗して落ち込んだこともありましたが、最近では自分一人で製品を作れるようになり、味もいい感じにできるようになってきたのではないかと思います。一番の失敗談としては、作りたてのざる豆腐を冷蔵庫まで運ぶ際、ひと山を床に落としてしまい、ダメにしてしまったことです。その時は先輩社員が「大丈夫だから、次は気をつけてね」と優しい言葉をかけてくれ、それ以降は運ぶときに気をつけるようにしています。このような経験を通して、今では自分自身が成長したことを実感しています。自己成長により仕事も楽しく感じ、充実した毎日を送っています。また、自分たちが作った商品がスーパーの店頭に並んでいるのを見ると嬉しく感じるとともに、地域の人々の生活に貢献していることに誇りを感じることもできます。
季節を感じ手作りの良さを活かす!本当の美味しさを生みだすことが作ることの喜びなのです