株式会社オネスト
- IT・通信・インターネット・ソフトウェア・情報処理
- 島根県松江市
登録企業情報OPERATING COMPANY
2020年に東京で五輪が開催されることが決定しましたが、日本の高度経済成長は最初の東京五輪から始まったと言えます。その際に中心となったのは東京から北九州までの太平洋工業ベルトであり、そこから外れたところに位置する島根県は、現在でもインフラが整備されていない状況にあります。鉄道は単線、国道や高速道路も2車線という環境は企業にとって決して快適な環境ではありません。しかしそれだけが島根県の発展を妨げているわけではなく、「最も大きな原因は、自分から何もしない島根の県民性にあるのではないか」と株式会社オネストの石𥔎修二代表取締役社長は語ります。
石𥔎社長は出雲市で生まれ、高校を卒業した後に富士通本社に入社し、POSの商品開発に携わったところからITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。その後早稲田大学を卒業し、27歳の時に島根にUターンすることになりました。その後独立を目指し技術を磨いて企画力をつけ、満を持して当社を立ち上げます。焦って起業しなかったのは、「思いつきでソフトは作れない」という確固たる信念からでした。
「できる人もいるけど、それは起業家ではない」という、ベンチャーは堅実な経営よりもリスクを好むと考えられがちな風潮に疑問符を投げかけます。行政や金融機関から就職の誘いを断ったのも、「この島根を何とかしたい」という使命感からでした。就職すれば、確かに自分は生活することができます。しかし、それでは「働く場所がない」と毎年3000人近くが流出している地元に貢献することはできません。
「都市部とはハンデがあって戦えない、とても無理だ」という周囲の声も多かったのですが、社長はそうは考えませんでした。「確かに発想や企画は都会が強い。でもローカルでもやればできる。」と、「あくなき創造への挑戦」というスローガンのもと、良いソフトウェアパッケージを作る、マーケットを作ることを念頭に置いて走り続けました。その想いは18期連続黒字経営、中国地域ニュービジネス大賞特別賞や日本IT経営大賞日本商工会議所会頭賞など、数々の受賞歴や数字として如実に現れています。
「これからの目標は?」という質問に対して、社長から意外な回答が返ってきました。
「松江に動物園を作りたい。」というのです。驚いて理由を伺うと、「ここには大きな産業もないし娯楽もない。仕事だけ集めても若い人がとどまらない。」と社長は残念そうに言いました。
確かに働く場所だけでは、若いエンジニアが結婚して家庭を持った時に出掛ける場所がありません。動物園というのはあくまでも例で、働く場所以外の「遊び場」をもっと充実させたいというのが社長の考えです。
もちろんそれは安定かつ需要の大きい雇用があることが前提となります。
「このあたりの企業は会社としてではなく、家業になっているところが多い。」と社長が懸念するように、雇用を増やすような企業と政策を作らないと発展しません。大企業を誘致するなら研究所も含めて移転しないと研究者が育ちません。研究開発型の企業を島根で起こすことが重要と社長は考えます。当社が全国に広く認知される日もそう遠くないでしょう。
中途採用されて入社し、今年で6年目になります。入社前は、米子の高校を卒業してすぐにアメリカの大学に行き、島根に戻ってきてからある建築会社で営業職を担当していました。
人を介して社長と会う機会が有り、当社に採用されることになりました。営業職として関西から西の製造業である自動車部品メーカーなどを訪問し、購買部の部長や役員に対して業務改革の提案を行います。
購買システムのコスト削減や業務効率の改善は会社によって全く異なりますので、その提案を自分で考え、企画することが楽しみです。結果が全てなので仕事は大変かもしれませんが、その分やりがいもあります。特に私の場合にはコンペに負けた時が何よりもつらいと感じます。その時に心の支えとなったのは、今まで自分が得ることができた小さな成功体験の積み重ねでした。
大学生には、4年間で何でもいいから、何か一つのことを成し遂げてほしいと思います。それが社会に出てから、つらいことを乗り越える力になるでしょう。
「島根に動物園を作りたい」それが私の夢です