株式会社吉崎工務店
- 不動産・建設・設備・土木
- 島根県隠岐郡
登録企業情報OPERATING COMPANY
隠岐地方を中心として学校や道路、住宅関連から造園、そして神社仏閣まで、幅広い領域を手がけているのが株式会社吉崎工務店です。
創業は明治45年、既に100年を超える歴史を持つ企業です。倒産や廃業が後を絶たない建設業界で、しかも離島のこの地にあって永く事業を存続させるには、それなりに時代に合った経営をしてきたからだと、三代目の吉崎博章社長は振り返ります。
それは、代々引き継がれてきた技術や技能の蓄積をもとに、設計から施工までをほとんど自社で行ってきたことが大きいといいます。当社の仕事はいつまでも形となって残る、まさに「作品づくり」です。営業エリアがあまり広くないこの地域では、良くも悪くも仕事の評判は瞬く間に広がります。
そのため、会社も社員も真剣勝負で臨み、全社をあげてお客様の要望を最大限取り入れる努力をしています。そうしたことも、長年事業を営むことができた一要因なのでしょう。
建設業では、工程ごとに専門業者に依頼し、施工するのが一般的です。
しかしながら当社は離島ということもあり、その工程の多くを自社で取り組んできました。設計に始まり、土木工事、基礎工事、木工事、あるいは鉄骨工事と、言い換えれば当社には多くの職種があるということです。この施工方法は工期の短縮を可能とするばかりか、他の専門業者に左右されない当社の強みとなっています。
その強みをさらに大きくするには、やはり社員教育が重要です。新入社員は先輩社員から学ぶことももちろん多いのですが、将来的には資格が必要となります。そのため当社では「、資格取得」や「人材教育」といった先行投資にも積極的に対応しています。技術部門の社員には専門学校に通うことを勧め、働きながら学び、資格取得ができるよう応援しているのです。近年は、新卒者も含め社内全体の年齢構成を考えた採用をしています。それは、これまで培ってきた伝統を次の100年へとつなげたい、という思いからです。
採用面接の時には、「おはようございます」「いただきます」に始まるあいさつなど、礼儀の基本ができているかを問います。学歴は不問です。また、若者には「朝ごはんを食べていますか」と尋ね、三食食べることを勧めます。最近は朝食抜きの若者が多いことから、「それでは現場で力が入らないだろう」という配慮からです。
吉崎社長は建設業だけでなく、隠岐の資源を活かすことにも積極的です。近隣から食材を仕入れて食料品の販売をしたり、研究に研究を重ねて、隠岐地方に自生する椚(くぬぎ)の木から「しいたけ」の栽培をしたり...。そこには雇用が生まれ、コミュニケーションが生まれ、そして地域が活性化するというのです。今後は、高齢化する隠岐の島町の住民のために、食材の配達も計画しています。
学卒後、東京で就職するも、数字に追われる毎日でした。長男である自分は、いつかは地元に帰ると心に決めていましたが、決して田舎で「のんびりできる」ことを望んでいたわけではありません。
むしろ、今となれば東京での「がんばり」が役に立っていると思います。隠岐に帰って最初の仕事はサービス業で、現在の仕事とは全く関係がありませんでしたので、入社時には多少の不安はありました。でも先輩たちの良き指導で、早5年目を迎えています。続いている理由は何といっても「風通しがいい会社」だからです。
誰だってその逆では働きづらいし働きがいもありません。そして上司との関係や仕事もうまくいかなければ、労災事故や離職にもつながります。今の仕事は総務で、福利厚生から役所に提出する書類作成まで多岐にわたりますが、自分にとって大きな成長の糧となっています。
共に培い、支え合う伝統ある建設会社と「熟練の職人衆」